2025年度に大阪DX推進プロジェクトのDX推進コンサルタントの専門家派遣を利用
Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。
当社は1988年に板金用CAD/CAMシステムを扱う会社として創業しました。また、創業者である現会長の父が小さな鉄工所を営んでいた縁で、ポンプやバルブに用いるパッキンの製造も手がけるようになりました。バブル崩壊後、製造業が落ち込む中で板金業界向けの生産管理システムを開発し、早くからITを活用した業務効率化に取り組んできましたが、その意義や必要性が社内に浸透しておらずデータが有効活用されていない側面もありました。
一方でパッキンの受発注は今でもFAXが大半を占め、受注内容の転記やシステムへの登録はマンパワーに頼っている状態でした。そのため転記ミスが起こったり、二重チェックにリソースを奪われたり、非効率な環境に頭を悩ませていました。

全く異なる「ソフトウェア開発」と「パッキン製造」を両輪とする、ユニークな事業形態
Q. どのようなDX推進を行いましたか。
もともと自社開発のシステムを活用してきた経緯もあり、DX推進コンサルタントからは「割とDXが進んでいる方だと思います」と言っていただきました。そのため、支援の大きなテーマとしてDX認定の取得をめざすことにしました。
組織体制の面では社長直属のDX推進チームを作り、ITに詳しいエンジニアと社内コミュニケーションが上手なメンバーの2人体制で社内への浸透を図りました。そして具体的な業務フローは「どのような形ならできるか」という現場の意見を聞きながら変えていきました。当社には70代の社員もいるので、いきなりタブレットの操作をお願いしてもスムーズにはできません。そこで、二次元バーコードを読み込むだけで作業実績を入力できる専用端末を開発するなど、無理のない形で業務を順次デジタル化していきました。

自社工場が最大の“テスト現場”。生産管理システム『Assist』は、自社の現場の声を直接反映して改良が重ねられた
Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。
IT業界でシステムエンジニアとして歩んできた私(倉田社長)は約4年前に事業承継させていただきました。代表就任後は「同じ作業を2回行う場合、効率化の余地がないか意識してほしい」など業務改善に向けた発信をしてきましたが、現場の意識改革の難しさを感じていました。その点、DX推進コンサルタントのような外部の方からの指摘は、より効果的だったと感じています。最近は「業務改善に取り組むのが当たり前」という感覚が現場に根付いてきており、パートも含めて社員が自発的にAIを使って管理ソフトを作ったり、さらなる業務改善に向けて提言したりすることも増えました。
一方で、まだ課題として残っているのがITパスポートの取得です。人材育成の一環で社員に取得を推奨してきましたが、勉強の時間を確保することが難しく、まだ少ないのが現状です。業務時間内に、取得のための勉強会などを行う体制を整える必要性を感じています。
Q. 今後どのような展開を検討されていますか。
当社は支援期間中にKANSAI DX AWARDで金賞を受賞し、DX認定も無事に取得することができました。次はDXセレクションの選定をめざしていますが、先述のITパスポート取得のための体制整備が目下の課題です。そのため、以前は手入力で行っていた電話での問い合わせ内容の記録をAIで自動化し、問い合わせへの回答もAIがサポートするシステムを構築することで、就業時間内に勉強に充てられる時間を捻出し、リソースの確保を図っています。


AIを活用し、報告入力や問い合わせ管理などの自社ツールを次々と内製している
当社はソフトウェアとハードウェアの両方を自社開発できる強みがあるので、今後もその環境を生かして新たなDXの形を探っていきます。そして自社のDXをモデルとして他の町工場にも横展開し、「中小製造業を元気にしたい」という会長の夢を叶えたいと考えています。


