Case

DX事例紹介

株式会社SKB

業種

2025年取材

2024年から、DXの取り組みに着手
2024年度に大阪DX推進プロジェクトのDX推進コンサルタントの専門家派遣を利用

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

1970年創業の当社は、住宅設備や産業機器、鉄道車両などに使われる機能部品や特殊機構の開発・設計を手がけてきました。お客様の製品は3~5年のサイクルでリニューアルされるため、私たちも常に新しい部品を開発し続ける必要があり、それらをゼロから設計してきた実績とノウハウが当社の強みとなっています。

一方で、進行中の設計データなど、案件情報の一元管理が難しいという課題がありました。データ管理用のツールは存在していたものの、その運用は担当者ごとにバラつきがあり、個人商店化している側面もありました。そのため、必要な情報を探すのに時間や手間がかかり、生産性の低下を招いていたのです。

住宅で使用されるルームクローザー(引戸レール)は当社の主力製品のひとつ

Q. どのようなDX推進を行いましたか。

DX推進コンサルタントの黒﨑さんに支援いただきながら、現状の課題に対して「何をすべきなのか?」を徹底的に話し合いました。各部署の部長クラスが定期的に集まり、DX活用に対する意識改革の必要性や課題に対するアプローチの方向性、どのような成果を追求すべきかなど、時間をかけて議論しました。

意見交換を重ねる中で、専門知識がなくてもシステムを構築できるローコードツールが増えていることに着目し、自分たちの手で新たな管理システムを作成することになりました。 既存のパッケージ製品の導入も検討しましたが、当社の部品設計・開発という事業形態に完全にマッチするものは少ないのが現状です。導入コストや将来的なカスタマイズの必要性も考慮した結果、自社に最適なシステムを内製するのが最善であると判断し、開発に着手しました。

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

今回の取り組みで得られた成果のひとつは、事前の意見交換に時間をかけたことで、各部署が納得して進められたことです。過去に市販のツールを入れた際は、部署や担当者によって「使いにくい」などの不満もあり、結果的にデータの適切な一元管理ができない状況が生まれました。今回は各部署の課題や要望を丁寧に吸い上げ、腹落ちするまで話し合ったため、全社で統一した運用ができると期待しています。

本社工場を中心に、現場発のDXが全社へと広がっていく

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

開発中の管理システムは2025年内の完成をめざしています。本格稼働後は新規の開発をより効率的に進め、生産性と売上の向上に結び付けていきたいと考えています。また、これまで課題となっていた技術継承にも新たなシステムを役立てていく予定です。過去の設計データなどが一元管理されていれば、若手の技術者も参照しやすくなると考えています。ベテランの技術者から教わりつつ過去のデータも活用することで若い人材の成長が促され、離職の低減にもつながると期待しています。

DX推進コンサルタント黒﨑からのコメント

SKB様の特に注目すべき点は、過去のシステム導入の経験を踏まえ、各部署の課題や要望を丁寧に吸い上げ、「腹落ちするまで」議論を重ね、全社で統一した運用ができるよう意思統一を図られた点です。この議論を重ねた結果として、「何のために」「何をするのか」が明確になっただけでなく、実現方法として既存のパッケージ導入を選択せず、自社の業態に最適なシステムをローコードツールで自社開発するという選択をも導き出しました。
DX推進において、関係者全員の合意形成と主体的な参画を促すこの地道な取り組みこそが、システム本格稼働後の成果と持続的な変革を生み出す礎となると確信しています。

左よりDX推進コンサルタント黒﨑と松本氏・二階堂氏

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