Case

DX事例紹介

シンコー株式会社

2025年取材

2021年から、DXの取り組みに着手
2023年度に大阪DX推進プロジェクトのDX推進コンサルタントの専門家派遣を利用

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

当社は1930年(昭和5年)に、当時「別珍」と呼ばれていた布地やレザーの問屋として創業しました。その後、カーテンやカーペット、壁紙、床材などの内装資材を幅広く扱うメーカーに発展し、住宅工務店様をはじめインテリアに関わる幅広いお客様と取引しています。

壁紙や床材などインテリア資材を幅広く扱っている

社内の業務管理には、30年以上前に導入したオフコンの基幹システムを長く使用してきましたが、2018年頃にその管理担当者が退職することになりました。その社員は導入当初から関わっており、システムの言語を理解している者は他にいませんでした。そこでオフコンのプログラミング言語を使える人材を新たに採用したのですが、結局はその者に頼らざるを得ない状況は変わらず、脱属人化のためのシステム刷新を検討するようになりました。

Q. どのようなDX推進を行いましたか。

新たな基幹システムの開発を依頼する業者選定と並行して、社内業務の洗い出しを進めました。その中で特に大変だったのは、古い基幹システムに組み込まれていたプログラムの整理です。導入から現在までの間に、後から付け足した無数のプログラムが絡み合っており、正常に機能しないものも少なくありませんでした。それらを整理して、洗い出した社内業務と整合させ、新システムに反映する作業を業者と協力して進めていきました。

最初は別の案件で相談していた大阪DX推進プロジェクトのコンサルタントにも相談し、開発の進め方、社内外の調整・巻き込み方、契約内容の注意点や稼働後のフォロー計画など、私たちが見落としている点を指摘していただきました。

約2年の開発期間を経て新システムのテスト導入に臨みましたが、最初は商品を発送するためのラベルがうまく出せなかったり、売り上げの数字が新システムと旧システムで合わなかったりと、さまざまな不具合がありました。そのため、当初は2024年2月に予定していた正式稼働を複数回延期し、同年の12月までずれ込みました。ただ、正式稼働後はお客様に多大なご迷惑をおかけする等の大きなトラブルもなく、結果的に延期したことが功を奏しました。

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

システムの刷新によって注文情報などが入力しやすくなったのはもちろん、棚卸しや成績管理などの作業時間も短縮されました。何より大きな成果は、特定の人に頼らなくてもシステムを活用できるようになったことです。例えば、営業担当者が売上に関するデータを独自に集計したいと思ったとき、以前はシステム担当者に依頼する必要がありました。現在は各自で必要なデータにアクセスすることができ、業務効率が大きく改善したと感じています。

システムのメインメニュー。各自でデータを集計・確認ができるようになり、入力業務も効率化された

また、開発を通じて社内のさまざまな業務を把握できたことも成果のひとつです。実を言うと、着手した当初は私たちの要望が業者にうまく伝わっておらず、作業が円滑に進まない時期がありました。そこで改めて社内の各部署を巻き込んで話を聞き、業務を整理したことで無駄なフローを見直す良い機会になったと思います。

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

基幹システムの刷新を契機に、社用車の管理や納品書の出力など、他の業務についてもオンライン化の流れが生まれています。基幹システムの刷新はゴールではなく、他のツールとの連携によってさらなる業務改善を続けていくことが重要です。まだ当社への注文は電話とFAXが多いため、お客様の利便性を高めるためにも業務フローのオンライン化をさらに進めていきたいと考えています。

また、今回改めて意識することとなった「脱属人化」の流れも定着させていくことが重要です。特定の人に頼らなくても業務が回る環境を整えることが、継続的な成長につながると考えています。

DX推進コンサルタント黒﨑からのコメント

長年ご活用されてきた基幹システムの刷新は、企業にとって大きな転換期となります。担当者様の退職という状況は、一見すると危機にも見えますが、御社はその状況を新たなシステム導入、ひいては業務プロセス全体の最適化という好機へと見事に転換されました。

プロジェクト推進においては、開発の進め方はもちろんのこと、社内外の関係者との円滑なコミュニケーションと合意形成が不可欠です。御社が積極的に関係各所と対話を重ね、丁寧に調整を進められるご姿勢が、基幹システムの稼働、さらに新たな取り組みの実現にまで繋がったと感じています。

今後も、各システムの連携強化やローコード開発の推進によって、御社のデジタル化がさらに加速していくものと確信しております。

左よりDX推進コンサルタント黒﨑と茂田氏

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