グリスニップル、油圧・潤滑・空圧配管継手、自動車・特殊車両部品、建設機械部品、工作機械部品、船舶部品、医療機器部品の製造・販売
2023年から、DXの取り組みに着手
2023年度に大阪DX推進プロジェクトの連続講座を受講
Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。
1945年創業の当社は、国内トップシェアのグリスニップルをはじめ、配管継手やノズルなどの金属部品を製造・販売しています。自社製品に加えて受託加工にも対応し、車両や船舶、建設機械や工作機械など、幅広い業種のご依頼にお応えしています。これらの量産体制を整えるため、製造の自動化には早くから取り組んできた歴史があります。
ただ、その設備の設計や構築は外部のベンダーに頼ってきた経緯があり、今後の業務拡大や人材不足などを考えると、社内での知見を高めておく必要がありました。自動化をさらに推進するためにも、各業務に最適化された設備を構築するノウハウを身に付けたいという思いがあったのです。
一方で、数年前からシーケンス制御などのスキルを備えた人材の採用・育成にも取り組んできました。その成果が徐々に出始め、社内のリソースが整ってきたため、自動化の拡充に本腰を入れようという機運も高まっていました。
Q. どのようなDX推進を行いましたか。
2023年に大阪DX推進プロジェクトの連続講座を受講しました。そこで得た大きな気づきが「事前検証」の大切さです。それまで、自動化設備を入れる際はベンダーと相談しながら設計を決め、事前検証のステップを踏むことなく導入してきました。しかし、より複雑な作業を自動化していくには、試験機などで事前検証を行うことが重要だと講座で痛感しました。
そこで、社内での検討を踏まえて小型の協働ロボットを検証用に導入。そのロボットを試験的に製造ラインに組み込み、どのようなことができるか可能性を探ってきました。同時に、ロボットを動かすシーケンスを自分たちで構築するためのスキルも高めていきました。これらの知見を生かし、バックオフィスも含めて社内のタスクを自動化・効率化する動きを進めています。
Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。
事前検証用として導入した協働ロボットを、製造ラインに材料を供給する形で試験的に運用したのですが、結果的に夜間も稼働させて、生産効率が約1.8倍に上がりました。想定を上回る効果を実感したため、2台目を導入してさらなる可能性を探っています。
このような結果を受けて、社内の各部署から「こんなこともできるのでは」と前向きな提案が増えています。もちろん、それぞれ本業のタスクがあるので全員がこの取り組みに参加できるわけではありませんが、自動化の推進に協力する輪が着実に広がっているのを感じます。
Q. 今後どのような展開を検討されていますか。
自社製品の量産工程を中心に自動化を推進していますが、今後は受託加工にも広げていこうと考えています。
また、受注管理や納期管理のような定型的な作業は、RPAで自動化する動きを進めています。このように、自動化によって圧縮できる作業は社内のさまざまな部署に存在するので、それらを見つけては効率化していきたいと考えています。
1台目に導入したロボットが良い成果を上げたことで、会社全体も自動化の推進に前向きになっています。経営トップも協力的で、ロボットの試験導入のように費用対効果の見えない設備投資に対しても「可能性を信じる」という姿勢で臨んでくれています。
この先、技術の進歩とともに自動化できる業務はさらに広がっていくでしょう。しかし、人が介在する作業は必ず残ります。だからこそ、人が行うべき作業に集中できる環境を整えていくことが会社全体の発展に重要だと考えています。