Case

DX事例紹介

株式会社新城製作所

業種

2023年取材

ナット・ボルトなどの締結部品製造
2018年から、DXの取り組みに着手
2022、23年度に大阪DX推進プロジェクトの連続講座を受講後、DX推進コンサルタントの専門家派遣を利用。

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

-新城社長 当社は自動車部品に使われる四角形の溶接ナットや、溶接不要で対象物に取り付くピアスナットなどの多種多様な締結部品を、専用の工作機械を使って製造しています。

2016年に社長に就任し、新たに中期経営計画をつくる際、SWOT分析などを活用して自社の強み、弱みの把握に努めました。その結果、生産性の向上、経営判断の迅速化には管理部門、製造部門のデジタル化が欠かせないと判断しました。

同社で製造された各種のナット

Q. どのようなDX推進を行いましたか。

-新城社長 まずは管理部門でDXを進めました。以前は社員間の連絡ツールはメールのみに頼っていたので、残業や有給休暇などの申請一つをとっても、やり取りのキャッチボールが多く、また紙で書類を作成していたため時間を要していました。

そこで手始めにビジネスチャットアプリを導入したところ、スマホで用件だけのやり取りができ、メールのような定型文を省略したダイレクトなコミュニケーションができるようになりました。

しばらくして、ビジネスチャット上のトークの負荷が高くなってきたため、次にワークフローシステムを導入しました。過去の書類などもデータベース化できるようになったことで書類の検索、再利用がしやすくなりました。また、銀行への送金の承認申請なども起案者や申請理由といった情報がまとめて確認できるようになり、承認側も迅速に判断ができるようになりました。

管理部門のDX推進にあたっては、私自身が展示会に足を運んで現物を比較し、さらにベンダーに客観的な評価を聞いて納得した上で進めました。ベンダー任せにならずに、自社で機動的に運用・管理できるようになるためです。

ビジネスチャット画面 ※業務情報に関わるため、詳細情報は表示させていません。

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

-新城社長 これまで各種書類の申請窓口となっていた総務担当者の作業が大幅に簡素化し、残業の削減にもつながっています。また、勤務時間や入出金のデータがすぐに分かるようになったことで業務のスピードアップと、仕組み化も進んでいます。

各種のアプリやシステムの導入で生産性が向上していると実感できたことにより、総務担当の社員から自主的に「こういうツールを導入したい」という声が挙がってくるようになりました。生産性向上という目的を明確にしながら仕事を進めていこうという意識が、社員に浸透しつつあることがうれしいですね。

アプリやシステムの導入を積極的に進めたことで、それらの機能の連携作業を効率化するという課題が新たに見えてきたので、近い将来には人が行っている連携作業をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することでなくしたいと考えています。

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

-新城社長 管理部門と並行して、経営への寄与が大きい製造部門のDXにも取り組んでいるところです。さいわい足もとでは受注が増えているので、DXで最適生産を実現し、新旧の機械を無駄なく効率的に稼働させることで収益向上につなげたいと考えています。そこで心掛けているのがスモールスタートです。

一足飛びにすべての機械にセンサーを取り付け、リアルタイムで進捗状況を把握できるシステムを導入する手もあるのですが、まずは機械で収集できる情報を手作業で出力し、エクセルにまとめて見られるようにしています。その作業を通じ、デジタル化で自動的に情報を収集したほうが楽だという意識を浸透させたうえで導入を進めていこうとしています。

何のためにDXを推進するのかについて現場の納得感を高めながら導入を図ることで効果的かつ着実にDXを実現したいと考えています。

ナット成型工場内部

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