Case

DX事例紹介

株式会社光洋

業種

2023年取材

精密小物ばねの設計・開発・製作に携わり50年以上の実績を持つ。
2021年夏から、DXの取り組みに着手。
2022年度大阪DX推進プロジェクトのセミナーを受講、専門家への相談を利用。

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

当社は「三方(売り手、買い手、世間)よし」に、「作り手」「地球」「未来」よしを加えた「六方よし」を経営理念に掲げる精密ばねメーカーです。主に給湯器内の配管を連結固定するクイックファスナー(板ばね)や、自動車のメカ機構に使われるばね(板・線)などを製造。当社では、会社が進むべき方向を全社員で共有するため中期経営計画を策定しています。売上を向上させるためには新規顧客の創造が欠かせないと考え「ITツールを活用した見込み客への営業活動」、そして「WEBを活用した外部への情報発信」の2本柱で取り組んでいくこととしました。

配管の接続部分をワンタッチで固定できるクイックファスナー

Q. どのようなDX推進を行いましたか。

かつて営業部門が持っていた顧客情報は、その営業担当者だけが知っているだけで社内に共有されておらず、いわば“個人商店”の集まりでした。そうした状況を改善し、顧客情報を社内共有できる仕組みをつくろうと顧客管理・営業支援ツールであるSFA(Sales Force Automation)を21年夏に導入しました。
システムの扱いに慣れた人間がおらずなかなか前に進みませんでしたが、習うより慣れることが大事と考え、まずは各自が保有していた名刺情報を入力し一元化。そして進行中の商談の進捗、日々の売り上げを記録するようにしました。併せて、マーケティングに長けた副業人材を22年11月に採用し(大阪府プロ人材事業を活用)、データ活用ができる体制づくりも進めました。
前後して、22年10月にWEBに精通した人材を新たに採用し、WEBを活用した情報発信も強化しました。ばねメーカーを探している顧客が「光洋」を見つけられるようSEO対策をするとともに、認知度向上のために23年より、各種SNSの運用をはじめました。

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

営業担当者が顧客から聞き出した新たな開発案件をかたちにすべく、新規開発検討会を月1ペースで開催しています。営業と生産技術から担当者が出席し、SFAで図面などを共有することで、試作から開発までのやり取りが円滑になり、開発案件が進めやすくなりました。また、SFAに蓄積した顧客情報の中からさらに絞り込みを行って顧客リストを作成し、展示会などの情報をDMで案内しています。開封率やクリック率などの詳細な情報もわかるので、それらの情報をもとに確度の高い営業をしていく意識が高まりました。
SNSは運用開始から4カ月でフォロワーが約1800人にまで増えました。同じ東大阪を本拠地とするJ3プロサッカーチーム「FC大阪」ともSNSを通じてつながりができ、活動に協力することにもなるなど、活動の成果が表れつつあります。現在はとにかく露出を増やして「光洋」の名を1人でも多くの人に知ってもらうことが大事だと考えています。

SFAを用いた、営業と生産技術担当者による新規開発検討会

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

中期経営計画を策定したことで、売上向上に向けた新規顧客の創造が必要であり、そのためにDXで何をやるべきかが見えてきました。すぐには結果につながらないかもしれませんが、日々の活動の履歴やDMなどを通じて顧客データが蓄積してきていること、ウェブを介しての問い合わせなど当社へのコンタクトが増えてきていることなど、少しずつではありますが成果が出始めているという手応えを感じています。今後は、インサイドセールスとフィールドセールスという営業の新体制構築を確立させることで、効率的な営業を実現させていきたいと考えています。

当社が得意とする三次元曲げ加工設備

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