Case

DX事例紹介

株式会社いかるが牛乳

取り組み

2022年取材

牛乳をはじめとする各種飲料の製造販売。2022年10月にアンスタッカーを導入。
2021年度大阪DX推進プロジェクトの連続講座を受講。

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

洗浄を待つ大量のクレート

当社は大阪市内の学校給食用に200mlパックの牛乳を1日5万本出荷しています。牛乳パックは40本分をまとめてクレートと呼ばれるプラスチックの箱に入れ、それぞれの学校まで運んでいきます。給食を終えるとクレートは空になって戻ってくるので、これを毎日洗浄機できれいにしてから、改めて新しい牛乳パックを詰めるという作業を日々繰り返し行っています。

戻ってきたクレートはベルトコンベヤーに載せ、洗浄機に送り込みます。3年ほど前までは全自動でコンベヤーに載せるロボットがあったのですが、故障してしまいました。それ以降は社員が1人張り付いて1箱ずつクレートをコンベヤーに載せていたのですが、この作業をもう一度省人化するためにロボットを導入したいと考え、2021年に大阪DX推進プロジェクトの自動化設備導入講座へ参加しました。

Q. どのようなDX推進を行いましたか。

講師から、ロボット以外の選択肢として汎用機のアンスタッカーがあることを教わりました。アンスタッカーは、積み上げた箱を自動的に1個ずつばらして、次の工程に送り出す「段ばらし装置」です。メーカーを調べてみると、当社の工場でも使えそうなアンスタッカーがあることがわかりました。それを当社が使っているクレートの幅や高さに合うようにカスタマイズしてもらい、短期間で導入することができました。

コンベヤーにクレートを置く作業については今も人手が必要なのですが、1度に10箱分の高さに重ね積みして流していくので、最初に何列分かを積んでおけば40分くらいは放っておいても、アンスタッカーが自動的に作業をしてくれます。工場内の搬送作業を担う社員が作業の合間に様子を見て、クレートを補充しにいけばよいので、ほぼ1人分を省人化することができました。

積み上げられたクレートが1個ずつにばらされ、ベルトコンベヤーで洗浄機へ搬送される

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

省人化するには「ロボットを導入するしかない」と思い込んでいました。ロボット導入には数千万円の投資を要するので、費用対効果の面から導入をためらっていました。昨年の受講講座にて、ロボット以外に専用機の導入(費用はロボット導入の1/4~1/3程度)という選択肢があるということを知ったことが、まず大きな気づきでした。そして自動化するということ、イコールすべてをロボットや機械に任せるということではないということも学びました。省人化したい工程をつぶさに分解し、どこまでを人が担い、どこから自動化するのかを切り分けて考えることで、投資を抑えながら省人化できる気づきが得られました。それにより今後進めていく省人化の手法についても選択肢が増えました。

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

同業者と比べると生産性がまだ低いのが現状です。今後は他の学校給食用のラインについてもアンスタッカーを1台導入することを検討しています。スーパー向けの1ℓ牛乳パックについても洗浄機まで運ぶコンベヤーがあるのですが、ここについては、既存のコンベヤーで使っていた小型ロボットのハンド部分を代えるだけで対応できるのではと考えています。

また、今後は紙容器の投入ライン、さらには工場内で当社が最も人手を要している冷蔵庫での仕分け、保管、入出庫作業についても自動化の検討を進めています。作業工程の流れを見える化するところから着手し、どのように自動化していくのか、投資対効果を考えながら道筋をつけていきたいと考えています。

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