Case

DX事例紹介

能登ゴム産業株式会社

業種

2022年取材

各種工業用ホースの卸。豊富な商品在庫を有し、顧客ニーズに対し迅速かつきめ細かく対応。
2022年7月に販売管理システムを導入。
2021年度にDX推進コンサルタントと面談。

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

パソコンを使ったことがない、携帯はガラケー、と私は典型的なアナログ人間でした。ホース卸の事業は1本売っても利益はわずか。デジタル化と言われても、その導入コストが社員1人を採用するほどになると考えると「手作業のままで十分やないか」と思いこんでいて、DXに対しては後ろ向きでした。

ところが2022年1月に経理を担当していた社員が新型コロナウイルスに感染し、たちどころに作業が滞ってしまいました。昼ご飯も食べずに、また妻にも手伝ってもらいながら、各種伝票、見積・請求書などの手書き作業を、家に持ち帰ってまでこなす日々が1カ月ほど続きました。

このようなことがまた起きたら会社が持たないと考え、「これはもうデータで管理せんとあかん」と。
そこでアナログ業務を脱するには何から始めたらいいのかを、大阪産業局のDX推進コンサルタントに相談することにしました。

濱本社長(左)とDX推進コンサルタント折原(右)

濱本社長(左)とDX推進コンサルタント折原(右)

Q. どのようなDX推進を行いましたか。

これまではFAXで届く注文を手作業で転記していたので、伝票の数字を入力したらそのまま台帳に転記され、請求書までできあがる、という流れを自動化したいと考えました。私達でエクセルなどでの構築も検討したのですが、迅速な対応が必要だったため、親しくしている経営者仲間に信頼できる業者を紹介してもらい、まずはパソコン4台と販売管理システムを導入しました。

デジタル化で大変だったのは社員からの理解です。私と同じようなアナログ派が多く、デジタル化すると新たに覚えないといけないことがたくさんあるから、と身構えてしまっていました。これについては、次の感染症拡大で誰か一人でも欠けることがあると大変なことになると繰り返し伝え、地道に説得していきました。システムの導入に当たっては、何百種類という商品、400ある取引顧客や仕入先をすべて番号(コード)に変えて登録しないといけないので、その入力作業だけで数カ月かかりました。

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

入力作業こそ大変でしたが、販売管理システムが立ち上がってからは、どれほど楽になったことか。以前は単価×数量の計算も手作業でやっていたので、たまに計算ミスもありましたが、それもなくなりました。

お客様ごとの発注履歴から、どのような商品がどれだけ売れているのかがわかるようなり、営業方針が立てやすくなりました。倉庫にどの商品がどれだけ残っているのかについてもデータで見える化され、無駄な在庫を減らすことができました。

なにより経理担当社員の仕事が減らせた分、私がやっていた仕事をその社員にゆだねられ、本来やるべきことに取り組めるようになりました。「昭和」から「令和」へひとっ飛びした気分です。

販売管理システムの導入は、社員を1人採用したのと同等以上の価値があります。どこの企業も人手が足りないと思いますが、まずはデジタル化に取り組んでから、と伝えたいです。

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

市場全体が縮小しつつある中でも、当社は大阪でトップクラスの在庫量を持ち、顧客からの細かいニーズに応えられる強みを生かして売り上げを維持できています。DXによりできた余力を営業に向けることで、これまで以上に売り上げを増やしていきたいと考えています。

販売管理システムに加えて、会計管理システムも導入しました。まだ先の話ではありますが、いずれ息子に事業承継するときは、経営力の強化された会社でいたいと思っています。

そのためにもDXは避けて通れない道です。DX推進コンサルタントのアドバイスに従い取り組んでよかったなと思っています。

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