Case

DX事例紹介

株式会社HCI

2021年取材

金融危機を契機に新事業へ着手

2002年創業。ケーブルやワイヤーなどの製造装置を製作・販売。現在はロボット・AIのSIer事業も幅広く手がけている。

Q. DX推進に挑戦するきっかけとなった自社課題は。

お客様からの相談を受けて、髪の毛より細いケーブルを撚線(よりせん)する「極細線用チューブラー型撚線機」を2004年に開発しました。それを、自社ブランド品として製造・販売。かなりヒットして忙しくなったのですが、2008年にリーマンショックが起こり、売れ筋の撚線機の販売が低迷した時に、このような非常時でも必要とされるモノをつくろうと考えたことがきっかけです。

Q. どのようなDX推進を行ないましたか。

もともと「いつか手がけたい」と思っていたロボットの分野に目を向けました。私たちは機械メーカーですし、機械設計や電気制御、プログラミングなどの技術を持っていて、ロボットシステムをつくれる素養がありました。そこで、ケーブル製造のノウハウを活かせる柔軟物を扱うような難易度が高いロボットシステムを開発しながら、リーマンショック後の2009年にロボットシステム初号機をユーザーに納入し、ロボットによる自動化機械の製造・販売を開始しました。

Q. DX推進後に経営内容や社内・社員に変化はありましたか。

ロボットシステムによって、自社のケーブル・ワイヤー製造装置事業も自動化・省力化できている部分がありますし、より高性能の撚線機の開発にもつながりました。2015年には「磁気軸受チューブラー型撚線機」の特許を取得しています。またロボットSIer企業として、様々な分野のお客様にシステムを提供。2017年からはSE開発グループをつくり、ロボットとAI・IoTを組み合わせたシステムの開発に取り組んでいます。例えば、飲食店向けに、オーダーを取ったり配膳したりするロボットシステムを開発。コロナ禍によって対面でのサービスを減らしたい企業に需要が高まっていますし、2021年12月に移転する新社屋の2階にもロボットカフェをつくる予定です。他に、図書館の司書業務代行システムや、病院内の給食システムなども手がけています。
こうした事業の拡大もあり、外国人を含む優秀な新卒者を毎年10名ほど採用。2018年には初心者向けの展示・教育の場である「HCI ROBOT CENTER」を、2020年にはロボット・AIの開発拠点「HCI ROBOT・AI LAB」を開設するに至っています。

HCI ROBOT・AI LABで展示されているロボット

HCI ROBOT・AI LABで展示されているロボット

Q. 今後どのような展開を検討されていますか。

ロボットシステムは最終的には、人間のようなヒューマノイドロボットが必要です。製造現場では益々人材不足になるでしょうし、災害時の救助活動や遠隔手術など、ヒューマノイドロボットが必要とされる場面は多岐にわたります。そのようなロボットシステムを手掛け、オンリーワン技術でグローバルニッチをめざしています。
自分のやりたいことができ、社会のお役に立てることは人として一番幸せなこと。同じ価値観を共有できるスタッフたちと共に、速度をあげて会社を発展させるために、熱意をもって自らを克己し、夢を具現化していきます。

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